『銃・病原菌・鉄』(おすすめ本4)

こんにちは!
松浦です。

大分、新規の感染者が減ってきましたね。
東京では来週以降規制を段階的に解除していくようですが、元通りの安心した生活を送れるようになるのはもう少し時間がかかりそうですね!

今日は日曜日ですので僕のおすすめの本を紹介します!

『銃・病原菌・鉄』
著・ジャレド・ダイアモンド 訳・倉骨彰 草思社文庫

 

先週紹介した『絶滅の人類史』が人類の肉体の歴史だとしたら、この本は人類の文明の歴史になります。

著者のダイアモンドさんはボストン出身の進化人類学者です。
1970年代にニューギニアの海岸を歩いている時にヤリさんという名前の現地の政治家に会います。その時にヤリさんからされた質問が本書を書くきっかけになりました。

 

「あなたがた白人は沢山の物を発達させてニューギアに持ちこんだ。だが私たちは自分の物と言えるものがほとんどない。それはなぜだろう?」

 

これはとても挑戦的な質問です。

私達人間は民族間によってそこまで大きな能力差があるわけではありません。
しかし、一方の民族(本書の場合では白人)は火薬や鉄などの沢山の物を発明し産業革命をおこし、もう一方の民族では長い時間、技術的なイノベーションが全く起こらず伝統的な生活をずっと続けています。文明の進歩にこんなにも大きな不均衡が生じるのはどうしてなのか?という事をこの本では大きなテーマにしています。

 

本書は沢山の研究を元にしている為一言で要約することは難しいのですが、地理的な部分が文明の発展に対して大きなカギを握っているといいます(「第10章 大地の広がる方向と住民の運命」)

 

人間はどの地域でも住むことができるため忘れてしまいがちですが、他の動植物は思っている以上に気候に対して敏感です。品種改良が発達する以前の穀物は、ほぼ同じ環境下でしか栽培できません。

 

では同じ環境とはどこのことなのでしょうか?

ダイアモンドさんは、その環境とは温帯地域(北緯30度~45度)ではないかと言っています。地図帳を横に眺めてみればわかりますが、古代文明が栄えた地中海もメソポタミアも黄河文明も北緯30度~45度の温帯地域内にすっぽりはまります。

この地域内では日照時間や気温にそこまで大きな差はありませんから、当然農業技術が伝播されやすくなります。文字や数字も、もともとは農作物を管理するために発明されたものですからその地域内では活字文化も発達することになります。

 

しかし、この温帯地域から離れてしまうとどういうことになるでしょうか?

まず環境が違うので農業技術が伝わることがありません。穀物が育たないからです。
そして、それに付随する文字や会計の知識も伝わる事はありません。
そうすると温帯地域かそうでないかで、知識の伝達速度に大きな差が生じることになります。

ダイアモンドさんはこの知識・技術の伝達差が、文明の発展の速度の違いになったのではないかと仮説を立てています。

 

すごく簡単な説明になりましたが、この本はそれ以外にも文明に対する沢山の(刺激的な)知見が述べられています。僕にとって色々な物の見方が変わるきっかけになった一冊です!

ぜひお時間のある時に読んでみてください!


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