『絶滅の人類史』(おすすめ本3)

こんにちは!
お家大好き松浦です。

今日は日曜日ですのでお勧めの本を紹介しますね!
お家のおともにどうぞ!

 

『絶滅の人類史』

更科功 NHK出版新書

 

著者の更科先生の専門は分子古生物学です。古生物学は化石から生物の形態を類推していく学問ですが、それに分子(DNA)が関わると途端に研究のハードルが高くなります。古代から残るDNAはかなり貴重な存在だからです。だからこそ解明できれば多くの事が分かります。4万年前に絶滅したネアンデルタール人が、骨格だけでなく肌の色や人間(ホモ・サピエンス)との交配率まで分かったのは、スペインの遺跡に残った化石から偶然DNAが抽出されたからでした。

 

本書では「人間は他の動物と比べて、なぜ特別か?」という問いに、700万年の人類史を通して答えていくという壮大な内容になっています。
私たちは、人間は動物界の中でも特別な存在だと思ってしまいます。よく人間に一番近い動物はチンパンジーという言い方をしますが、どう考えも人間とチンパンジーは近い気がしません。人間とチンパンジーより、チンパンジーと猫の方が近い様な気さえします。チンパンジーも猫も言葉は話せないし、二足歩行もしないからです。

 

化石調査の結果、実は人間とチンパンジーの間には、およそ25種のご先祖様(化石人類)がいた事が分かっています。チンパンジーと人間の間には25種類の近縁種がいた事になり、そのすべてが絶滅しています。つまり、そのご先祖様達が絶滅していなければ、人間とチンパンジーは26番目に似ていると言えることになりますが、絶滅している以上、次に似ているのがチンパンジーということになります。
近縁のご先祖様が25世代もいないことが、私たち人間と他の動物をわける大きな溝になるのです。

 

その失われた25種にスポットライトを当てたのが本書になります。二足歩行になった経緯や、人間に牙がない理由などをご先祖様の化石や進化論のお話を通して紹介されています。私たちがこの体と、この生活を獲得するには、過酷で想像を絶する様なご先祖様達のストーリーがあります。指もアキレス腱も骨盤も、楽をして手に入れたものは一つもないのです。

 

私は更科先生の著書はほぼ全て読んでいますが、一番、最初に読んだのがこの本でした。人類進化という壮大なストーリーが、専門用語をほとんど使わない優しい文章で描かれていて夢中で読んだのを覚えています(#^^#)

 

人間がこれからどこへ向かっていくのか予測する事は難しいですが、過去どこからやって来たのかはある程度分かっています。

 

人類の大きなルーツを探るとても楽しい一冊です!

 


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