こんにちは!
梅雨大好き松浦です!
今日は日曜日ですので僕のおすすめの本を紹介します。梅雨のおともにどうぞ!
あと先週投稿した免疫についてのお話の続きは来週アップしますね( ´艸`)
今週は進化論についての本を紹介しますが、この本は切り口が少し変わっています!
『家畜化という進化』
著・リチャード・C・フランシス
訳・西尾香苗 白揚社
犬や猫や豚などの動物が、人間と出会う事でどのように進化してきたかを記す本になります!
家畜というと特定の種類だけを人間社会の為に育てるというイメージが強いですが、意外にもそれらの動物は人間に家畜化される過程で沢山の種類に枝分かれをしていったと本書では述べています。
例えば犬の先祖はオオカミですが、オオカミが長い年月をかけて人間に飼われることで、テリアやスピッツやシェパードといった犬種に枝分かれしていきました。猫も元々はヤマネコでしたが、人間と共に暮らす事であの愛くるしい形になり、シャムやショートヘアなど様々な種類に枝分かれをしていきました。
オオカミやヤマネコは人間と触れ合うことで進化のスピードが加速され、沢山の種類に分かれることになりました。それは何故だろう?という疑問がこの本の大きなテーマになります。
野生で生きる動物と人間と共に暮らす動物では、姿カタチに大きな溝があります。家畜化された動物は犬でも猫でも豚でも(野生の動物とは違った)どこか可愛らしさがあります。この可愛らしさはどこから来るのでしょうか。そこに何か進化のヒントがありそうです。本書ではキツネを使った実験が紹介されています。
ロシアの生物学者ベリャーエフさんが行った実験です。彼はキツネの養殖場から人間を怖がらないキツネを何匹を貰い受けました。そして、人間を怖がらないキツネ同士を交配させ子供を作らせたのです。すると不思議な現象が起き始めました。子供を作らせ続け、4世代位経った頃です。グループの中から、世話係の人が近づくと尻尾を振り始める子キツネが出てきたのです。これには飼育員も驚きました。尻尾を振るという行為は犬が親愛を示すときに見られる表現ですが、その表現がキツネにも出てきたのです。
これは通常キツネには見られない行為です。さらに世代が進むとキツネ達の中には、くんくんと鳴いたり、顔をなめてくる個体も増えて来ました。そして、変化は行為だけではありませんでした。身体面では垂れ耳や巻尾になり、骨格では足が短くなり額が横に広くなってきたのです。つまり全体的に飼い犬のように姿カタチが変化してきたのです。そして驚くことにこれらの変化は50年も経たない内に起こったのです。
詳しい説明は割愛しますが、これらの変化には「従順性」を司る遺伝子が大きく関わっていました。従順であるという事は、ヒトを警戒しないという意味で「幼児的」と言えます。つまり最初に選んだ人間を怖がらないキツネ達は、子キツネのように警戒心が薄く幼児的な遺伝子の強いキツネであったのです。そして、その特徴が強いキツネ同士で子供を作り続けたので、「垂れ耳」や「巻尾」などの幼児的な特徴が成獣になっても現れ続けたのです。
家畜の全てがこの幼児的な遺伝子を顕著にしているわけではありません。しかし、種族の中でヒトを怖れない遺伝子持っているグループ同士で子作りをしていた為、他のグループとは別の遺伝パターンで進化を遂げていく事が出来たのです。犬や猫が野生の動物より多様性に溢れているのは、実は遺伝子が近いグループでの集中的な交配(近親交配も含む)が一つの理由だったのです。
本当に分厚くて読むのが大変ですが、生き物に対しての好奇心をめちゃくちゃ刺激してくれる本になります。
紹介したもの以外にも沢山の進化のパターンがこの本には述べられているので、お時間のある時にどうぞ!