こんにちは!
今日は都知事選ですね!
コロナ禍をしっかり乗り越えていける方が選ばれることを祈っています(*˘人˘*)
今日は日曜日ですので松浦のおすすめ本をご紹介いたします。
『ゾウの時間 ネズミの時間』
著・本川達雄 中公新書
時間ってとても不思議です。
楽しいことをしていればあっという間に過ぎるし、退屈な事をしているとゆっくり進むような気がします。
子供の頃は一日が長く感じましたが、大人になった今は一か月でさえ早く感じる時があります。
よく聞く話では、5歳児にとって1年間は「過ごした人生の⅕」ですが、60歳の方にすると「1/60」になるので、その分だけ体感する時間が異なるというものでした(通称ジャネの法則です)。
つまり、60歳の方は5歳児の12倍も(体感)時間が早くすすむといった理論でした。
この説明が正しいかどうかは分かりませんが、人によって時間の進み方が違うのは確実です。
では、他の生き物は時間をどう感じているのだろう?が今回ご紹介する本のテーマになります。
地球上の生き物はそれぞれ異なった時間感覚をもっています。
200年近く生きる動物もいれば、2年くらいで亡くなる動物もいます。
人間の感覚で言えば、娯楽もないのに長生きする動物は暇を持て余しているように思えるし、逆に短命な動物は生まれてきた理由も推察できません。
彼らは時間をどう捉えているのでしょうか?
直接話を聞くことは出来ませんが、推察するヒントが2つあると著者の本川先生は言います。
一つは体のサイズ、もう一つは心拍数です。
統計的に体のサイズが大きいほど寿命が長い事が分かっています。
ゾウは平均的に60〜70年ほど生きますが、ネズミは2〜3年程しか生きられません。
また、心拍数のリズムが遅い動物ほど長命で、早い動物は短命である傾向もあります。
心拍数は心臓が動くリズムを計るものですが、ゾウは心臓が1度動くのに3秒かかりますが、ネズミは0.1秒しかかかりません(人間は1秒くらいです)。
この二つを関数にすると「四分の一乗則」という物が浮かび上がってきます。詳しくは本書をご参照頂ければと思いますが、体重と脈拍を基準に各動物達をグラフ化すると綺麗に「四分の一乗」の傾きで直線になることが分かります。
筆者の本川先生は生き物達の時間感覚も、この「四分の一乗」で変わるのではないかと言っています。
大きい動物ほど早く時間がすぎて、小さな動物ほどゆっくり時間が過ぎるのではないかと仮説を立てているのです。
ネズミとゾウは体重が10万倍違いますが、「四分の一乗」の関数で考えるならば時間感覚は18倍違うことになります。
具体的に言うと、ゾウにボールを投げると物凄く早く感じるだろうし、同じ速度でネズミにボールを投げても、それが18倍もゆっくり感じるのではないか?ということになります。
また本書には興味深いエピソードが乗っており、どの動物も一生に動く心臓の回数はほぼ同じだそうです。
ネズミもゾウも一生では15億回心臓が動いた辺りで寿命を迎えるそうです。
だから意外なことですが地球上にいる生き物達は案外、死ぬまでに感じる「生きたぞ!」の時間感覚は同じなのかもしれませんね!
本書には時間感覚以外にも、沢山の生物のサイズに関する知見が乗っています。
「時間」を物理学や哲学とは別の視点で捉えなおすきっかけになると思います!!